ドイツのイメージは非常に 性能の良い機械・道具を作成しているイメージが無いですか?自動車の世界でも日本よりもイメージが良いという方が一般的ではないでしょうか?
再生可能エネルギーも ドイツが世界を先行して普及していきました。
ドイツの手工業は非常にしっかり組織化されています。 その中心にある教育システムが 「デュアルシステム」という手法です。 その教育機関 「GewerbeAcademie ゲベルベ アカデミー」のマット先生のところに勉強をしに行ってきました。
マット先生1年半ぶりの再会!
今回お邪魔しているフライブルクは 南バーデン地方ですが、人口60万前後の商圏でこのような職人さん育成学校にマット先生の専攻「給湯・冷暖房・換気・空調」だけで 3つの学校で 年間に150人程度を卒業させ、育成しているようです。16歳から 基本就職をして、半年に1度2週間の学校での研修を行う。 約3年半の学校に行く期間でも 10万〜12万程度の お小遣いを貰いながら職人さんとして実技+学習をしていきます。 この期間の見習い工をレアリングといいます。そして 3年半の期間をしっかり卒業したらゲゼレという職人さんのタイトルになるのです。
ざっと計算をしたら20歳〜ゲゼレという職人さんのタイトルを貰い、60歳まで職人さんで仕事をするとしても60万人の商圏に 6000人の設備職人さんのタイトルを持った方が存在することになる。これは本当に素晴らしいことです。
全員職人さんになるわけではなく、冷暖房・換気・空調の技術を持って工場などに勤務する方もいるようです。しかし、技術職をしっかり教育していく体制がしっかり整っています。
普段生徒さんが授業をする場所で!
配管の接続の実技
2人1チームになって、実技の実習をするそうです。 配管も全部自分で曲げたり、接続部分を加工したり。。。
実際にはもう銅で新規で工事をすることはなくなっているようですが、それでも実技は銅を加工します。それは 彼らが職人になって 一番の仕事は古い設備の故障・修理! そうすると 古い銅管でできた設備を修理に行くことが多くなるので 職人さんの親方らは そこをしっかり教えて欲しい!ということです。
ちなみに この写真の設備、見習い レアリング二人で3日くらいで完成させるそうです。実際に15気圧くらいの圧力をかけて 水・お湯が漏れないかテストするそうです
今回の視察には 「設備会社の社長」さんも同行していましたが、「すごい!レベル高い!!」とおっしゃっていました。
給湯配管やら、逃し弁とか・・・
約50種類の給湯器が揃っている!
このアカデミーだけでも、すごい数 数百のボイラー機器があるようです。理由は いつどの年代の設備機器の修理を依頼受けるかわからないから・・・
みなさん理解できますか? 日本は 壊れたら誰に頼みますか? 「メーカー」そうなんです!日本では壊れたらメーカーに電話をする。 当然担当者地元にいるわけでもなく、交換とか返品になったり、保証期間過ぎているから修理できませんとか そんな対応が多く無いですか?
ドイツの設備機械メーカーさんは この「デュアルシステム」自体を応援しています。各メーカーごとにドイツの津々浦々まで保証修理体制を構築できるわけもないので、自分のところの「設備機器」が修理できる職人さんを この職人さん学校に教育してもらい、修理の依頼がきたら 派遣してもらう方が圧倒的に効率がいいのです!
中小手工業会社の社長も、教育をしっかりやってもらったほうが ベースがしっかりした若者が就職してくれるようになるし、また この見習い期間に 会社側も 見習い側の若者も双方お見合い期間が設けられるので 職人さんの発掘・教育を同時にできるのです。
州・市なの自治体は 雇用が生まれる下地になります。 ですので メーカー・手工業者・自治体が協力して このアカデミーを始め デュアルシステムをしっかり守っていっています。
非常に素晴らしい環境だと思いますし、日本にも このような思想・体制構築をしないといけません。
熱効率が高いマイクロコージェネ
再エネソーラーも設置し発電させる
これまで デフレの20年職人さんを育てる中小の会社も コストダウンばかりで本当に苦しい思いをしています。若い職人さんを育てる前に 「あの親方みたいになりたい!」という魅力的な大人になれているでしょうか? しっかり 大人である我々が魅力的な 仕事をして その背中を見て子供達が この職人さんに憧れる・・・そんな世界を造らないと職人さんは どんどん成り手が少なくなります。
金属加工見習いさんが製作
僕らは 持続可能な国造り そのために エネルギー・交通・省エネ建築から街づくりがどうあるべきか 常に日本から視察を受け入れています。 その中で職人さん教育というのも非常に大きなテーマなのです。
早田も自ら 「左官屋さん」からの出身です。 ですので職人さんの今後・未来にいい仕事と言われるように そのような社会を作っていければと考えています。
2014年クラブ・ヴォーバン視察〜その2
posted on: author: h-souda category: ブログ・想い / 持続可能な街づくり / 省エネ建築