前回まで 原油などエネルギーの枯渇、人口増大・文明の発展などにより新興国もエネルギーを大量に消費する時代を迎え、今後 電力を含めた エネルギー価格の増大が見込まれるという ことを説明しました。
電力価格があがる要因として いくつか考えられます。
- 電力を造る元となる 原料(原油・ガス・石炭)の高騰
- 為替の問題(原油の輸入による 80円/ドル → 110円/ドル)
- 再生可能エネルギー推進などにいる賦課金
ドイツでも脱原発を2000年に政府と4大電力会社が合意をし、原子力発電所を老朽化したものから停止すると合意をし、同時に始められたのが、「電力の固定買取制度・・・FIT」です。
この制度は 再生可能エネルギーで電力を生産する際に 設備投資など高価になる分を補助金で促進させ、大量に設置しながらコストを下げていこうという取り組みです。日本でも 昔から 住宅の屋根で余剰電力などの買取は進んでいましたが、この2012年から法律が施工され急激にメガソーラーなど大規模なものが普及しました。 この補助金は我々が使用している電力料金に賦課金として計上され自動的に徴収をされたものを配分するという仕組みです。
確かに 2011年までは 野立てのソーラーなどは 45万/kwp程度だったものが、いまでは25万〜30万前後/kwp(低圧で50kwp位の規模のもの) と飛躍的に設置価格が提言し普及に拍車をかけました。
しかし ここで 賦課金の増大が予想されるのです。
各国の電力価格 日本は高め
グラフの青いものが 電力本体価格 赤いものが税金です。右側のグラフが家庭用の電力価格。もともとドイツは10年前は 家庭用で1kwpあたり 20円程度だったと聞いています。いまは30円以上になっています。 この価格上昇がいわゆる再生可能エネルギーを推進するため賦課金も含まれています。 左側は産業用といわれる大規模な事業所などの電力価格。 ここは すでに再生可能エネルギーを12年普及させたにも関わらず 日本より大きく安いのです。 これはドイツにおいては家庭用に大きく賦課金を掛け、企業にはあまりかけていない戦略だからです。
このグラフは 2012年のものです。まだ再生可能エネルギー法が施工されたばかりでこれから、賦課金が大きくなってきます。 今後数年間で 8円〜10円/kwhあたり価格が上昇してもおかしくないのではないか?と予測しています。
いまでも高いのにまだまだ上昇?!
このような街並みで持続可能にするには?
さて、ではドイツを始め欧州は 再生可能エネルギーを普及し、電力料金は値上げ、化石燃料も値上げ、、、確かに気候保全も大事だが どうなってんのか?ということになります。 当然対策は打たれています。
【建築物の省エネ化積極推進で 根本からエネルギー消費を抑える】ということです。
そのキラーコンテンツが・・・エネルギーパス(建物の燃費証明書)
家の燃費証明書
床面積1㎡辺り幾らエネルギーが必要か?
日本でも2011年より 一般社団法人日本エネルギーパス協会 を発足し建物の燃費表示化を 推進する建築士・工務店などに研修をして普及促進をしています。
この住宅・建築物が 1年間過ごすのに どのくらいのエネルギーが必要か?いうのを客観的に示すことにより、断熱性能が高い・快適な・将来安心な建物を普及しようという国の狙いがあります。
欧州各国で不動産表示に義務化も!
このように 不動産を売る・貸す際には「建物の燃費表示」を義務付けるまでに至りました。
このような建物でも暖かい!!
結果として 建物の省エネ化をするといっても、まだ比較をしないと 購入者・賃貸者は理解できないわけで その「ものさし」を普及することが 一番重要なことなのです。
現在 欧州の新築建築物に至っては 日本の最高性能と言われている建築物よりも 半分〜 3分の1程度のエネルギー使用量で快適に暮らせるようになっています。 また 古い建築物も エネルギー改修と言われる「省エネ改修」が積極的に進められています。
原油価格の高騰・再生可能エネルギーの推進による電力価格の高騰・・・将来の不安
しかし 建物で使用される エネルギーを抑制することで国民に負担をかけないように 両面の政策が必要ということ。これを20年掛けて着実に実行していくところに 「持続可能な国・ 地域」を造るヒントが多く隠されていると思います。
まずは 建物の性能を国民が知る!ここが 地味ですが重要なのです