クラブ・ヴォーバンは持続可能な街づくりを積極的に推進する 「サロン」として2008年に活動を開始、2009年より一般社団法人化して、年に2回程度のドイツ合同視察、日本にて5ヶ月連続でのセミナーを通じて話題を提供する 「PJ25」他にも いろんな団体を立ち上げてきました。
特に、新築の工務店・設計事務所さんの参加が多いのですが、日本では まず「新築」にて省エネ建築のイロハを学んでもらいたいのです。 そのためには 「家の燃費表示の見える化」エネルギーパスがどうしても必須ですので そちらの勉強会・・・でも 一番やらなければいけないのは 「省エネ改修」なのです!!
20センチ以上の分厚い断熱材
日本でも最近空き家問題がクローズアップされています。世帯数はもう暫く伸びるでしょうが、同時に強烈な人口減少が始まります。地方では その傾向が顕著に表れていて すでに賃貸住宅を始め ものすごい空き家率になっています。
空き家が多い地区になると、どうしても活気がなくなり、家賃が下がります。 ドイツでもどうしても移民背景の方や、高齢者が多くなる地域がありました。 1970年代に高層ビル群が建築された 「ヴァインガルテン地区」になります。
霧の寒い中みなさん熱心にメモ!
確かにたくさんの国の方が住んでいるようです。道行く人々が多種多様な民族の方。しかし 全然雰囲気は悪くありません。街並みも美しいのです。
ここは フライブルク市、州も助成して応援している断熱改修を大規模に行っている地区です。
落葉樹の中ちょっと古い建物が
窓の周りをみてもらうと理解できるでしょうか? 窓の枠と壁の位置がほとんど同じですよね。これは改修前の1970年代の建物になります。外部ブラインドの設置や高性能窓への交換くらいの改修は以前行われたかもしれません。
窓の周りの輪郭の違い!
解りますか? 外部に大きく壁がせり出しています。 ブラインドも実は壁の中に隠してしまっていますがきちんと取り付けてあります。
カラフルですがこちらも改修済みの物件
完全に 壁が全面に張り出しています。 この厚み分だけ 断熱材を足した格好になります。これで建物全体を包み込んで 省エネ建築にするのです。 一部右側にブラインドが半分手前まで降りてきていますが、断熱による冬の暖房の大幅低減と日射遮蔽による 春・秋・夏の室内の温度上昇を止めることが重要です。
この高層16階の建築も改修物件
この大型建築物も新築ではありません。実は改修物件なのです。 もともとグレーの壁の面が バルコニーがあった場所。 バルコニーの壁や床は外気に接していますので 夏暑く、冬寒くなります。 この温度はそのまま建物内部にコンクリートの壁・床を通じて侵入していきます。 このことを 「ヒートブリッジ」と言います。
この「ヒートブリッジ」が高性能住宅、省エネ建築になればなるほど 顕著に表れてきます。明らかに そのヒートブリッジの部分だけが冷えて 結露やカビになったりします。 ですので 省エネ建築になればなるほど気を使う場所。
このバルコニーを外から完全に断熱材で包み込み、いま張り出しているバルコニーを完全に後付けで設置したのです。
ホームズプレスの記事にも記載しているが すでにパッシブレベルの改修を実現しているのが このヴァインガルテン地区の断熱改修事例である。 また 時間があるときに詳細のレポートはしたいと思います。
明らかに 団地が綺麗になっている。そして 心なしか住民のみんなも誇らしげだ。同じ可処分所得でも 彼らに負担をかけないように これまでの大きさを2人住まいの方には 少々間取りを小さくしてもらい、実際に家賃支払額は同等にしている。 しかし 光熱費は段違いに安くなり(年間に4万程度) そして快適さは数倍になりました。
昨年の冬 マイナス16度が1週間続いたときに これらパッシブハウスレベルの改修建築物は 入居者の内部発生熱、給湯などの熱、調理などの熱を 全館より熱交換器システムで回収して 実際には暖房がほとんど不要だったというから驚きです。
日本でも そのような建築に携わってみたいと思いながらの視察でした。
2014クラブ・ヴォーバン視察〜その3
posted on: author: h-souda category: ブログ・想い / 持続可能な街づくり / 省エネ建築